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米国における物流を取り巻く環境

米国における物流を取り巻く環境

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目次



※本内容は2023年8月時点の情報です。
※参照元URL:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)Webサイトhttps://www.jetro.go.jp/indexj.html

(1)米国での物流基礎知識!物流を取り巻く規制緩和!


米国の物流業界における規制は、時代の流れに伴い変化しています。特に1980年以降、規制緩和の動きが活発となっています。

物流に関わる規制緩和と変化について

1980年代以降、米国では物流業界における規制緩和の動きがいくつかありました。それらの規制緩和が、効率的な物流ネットワークを構築し、米国の経済成長や雇用の創出に寄与してきたと言えます。これに伴い、適切な安全対策や競争ルールも定められてきました。今回は物流に関わりのある、運送業、電子商取引、先端技術に関する規制緩和について下記に説明していきます。


(1)運送業における規制緩和

1980年、貨物鉄道事業の規制緩和に関するスタガーズ鉄道法(Public Law 96-448)が成立し、鉄道運賃の設定や荷主との運送契約の自由化が実現しました。40社あった主要鉄道会社は2000年までに7社に統合され、そのうち主要な鉄道会社4社(2社は西部、2社は東部で運行)が鉄道運行の9割以上を管理するようになり、鉄道料金は、1980年から2000年にかけて約6割低下しました。規制緩和は、貨物鉄道事業者のみならず、トラック輸送事業者においても段階的に行われ、州をまたいでのトラック輸送が可能となりました。これらにより、運賃が抑えられ、荷主は大きなメリットを享受しました。また、物流業者は、荷主との運送契約自由化により、柔軟な運送業務を行うことで、効率的な物流ネットワークを構築することが可能となりました。しかし、国内長距離輸送において、トラックや航空、鉄道各社の競合が激化し、規制緩和以前から高い賃金で労働してきたトラックドライバーは、規制緩和による激しい市場競争のため、賃金が大幅に低下し、福利厚生なども手薄になりました。低賃金と厳しい労働条件のため、トラックドライバーの新規雇用が難しくなっています。結果として、物流業者は、限られた従業員数で増加傾向にある物量に対応するために、配送効率を高める工夫などが求められています。


(2)電子商取引における規制緩和

米国政府はインターネットやモバイル技術の普及に伴い、急速に成長している電子商取引(eコマース)を普及促進させるため、電子署名法などの電子決済に関わるルールの整備や貿易自由化に基づく関税障壁の撤廃・軽減などのクロスボーダー取引に関する規制緩和策を展開しています。これにより、企業や個人がより簡単に商品やサービスを販売することができます。

日本企業が現地法人を設立することなく、米国でeコマースを展開することも可能です。しかし提携先との契約に保険加入義務の条項、提携先を付保範囲に追加する条項など、米国の保険への加入が求められることがあります。万が一、トラブルが発生した場合、国際間の訴訟などが懸念され、日本側に影響を及ぼさないようにするためには、米国に現地法人を設立する必要がでてきます。

また、米国において2016年4月に承認された経済協力開発機構のガイドラインに違反した場合、eコマースを監視する機関である連邦取引委員会(Fair Trade Commission:以下、FTC)より、不公正とみなされる可能性があるので注意が必要です。特にFTCは、開示義務、公正なマーケティング、データ保護の義務の3つの観点を重視します。

eコマースに関わる米国物流業務は、これら規制やルールを理解し、それぞれに適切な対応を取る必要があるため、煩雑化しています。


(3)先端技術に対する規制緩和

近年のドローン技術の進歩に伴い、米国ではドローンを利用した物流に注目が集まっており、遠隔地や緊急時の物資輸送などで効果的な利用が期待されています。米国政府は、商業用ドローンの運航規制を緩和すると発表し、物流業者がドローンを活用して商品の配送や在庫管理を効率化することを支援しています。

具体的には、連邦航空局(Federal Aviation Administration:以下、FAA)が2021年1月15日に、民間によるドローン活用に関する2つの連邦規則を制定することで規制を緩和しました。その規制緩和とは、「遠隔IDの装備の義務化」と「人の上空の飛行に関する規制」の2項目です。ドローンに遠隔IDの搭載を義務付けることによって、人の上や夜間の飛行など一定の範囲でFAAの承認を不要としました。将来的に、ドローンによる災害救助などでの活躍も期待されています。

規制緩和の対象とされるドローンと飛行条件は、以下のようなものです。

  • 総重量:55ポンド(約24.9キログラム)以下
  • 飛行高度:400 フィート(約121.92メートル)以下
  • 飛行速度:時速100マイル(時速約160キロメートル)以下 など。

民間企業のドローン活用に関しては、今後も規制緩和や法改正が実施されることが予想されるので、FAAのサイトや各州のガイドライン、各種ルールなど、常に最新の情報を収集しておくことが必要になります。




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