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ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済・物流事情

ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済・物流事情

ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済・物流事情

目次



各国共通のニーズと課題

(2)ASEAN地域の経済成長を支える労働人口増加と外資規制緩和

冷凍・冷蔵食品の物流需要の高まり

ASEAN地域では、経済発展と所得水準の向上に伴い、家電製品の普及が進んでいます。冷凍食品などの新しい食生活が広がりつつあることで、小規模な露天商からコンビニやスーパーなどの近代的な販売チャネルへと市場が移行する中で、冷凍・冷蔵を要する食品の物流需要が高まっています。

しかし、温度管理が不十分なために流通過程で品質が損なわれ、多くの食品が廃棄されてしまうという課題が存在しています。


人材確保と定着が課題

新型コロナ禍の収束とビジネスの再開に伴い、ASEAN進出企業が直面する新たな課題の一つが、優秀な人材の確保と定着です。「シンガポール米国商工会議所(以降、AmCham)が在ASEANのAmChamと共同で2022年7月から8月にかけて実施した、在ASEANの米国企業を対象にした調査結果(※1、2)によると、「新型コロナのパンデミックからの回復期における懸念点(上位3位を選択)」として、「自社製品・サービスに対する需要」(58%)が最も多く上がった。「人材の確保と定着」(54%)と「サプライチェーンの混乱」(48%)が続く。」として、過半数以上が「人材の確保と定着」に課題を感じていると報告しています。

この調査結果と表からもわかるように、アジア大洋州におけるビジネスの課題は、人材の確保と定着であり、その背景には、インフレに伴う人件費の高騰があります。ASEAN主要国を中心に最低賃金の引き上げが進んでおり、有能な人材を確保するには魅力的な賃金水準を用意する必要に迫られています。企業には優秀な人材の獲得と維持に向けた賃金面での対策が求められています。


アジア大洋州地域主要国の最低賃金動向

マレーシアの物流事情

参照元:「アジア大洋州地域主要国の最低賃金動向(2022年以降)」(独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)、2022年11月15日)(https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2022/1101/46ac3eb7a5271c13.html

※1:総論:アジア大洋州におけるビジネス課題と再編の動き(独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)、2022年11月15日))より参照。
※2:2022 ASEAN Business Outlook Survey」(AmCham Singapore)。2022年8月25日公表(調査期間:2022年7月13日~2022年8月3日)の初版。



マレーシアの物流事情

マレーシアの物流事情


物流インフラについて

主要な港湾

  • クラン港

    クラン港は、マレーシアのセランゴール州に位置し、国内最大の港湾です。かつてはポートスエッテンハムと呼ばれ、1972年にポートクランに改名されました。輸出入の重要な拠点として機能しています。港はノースポート、サウスポート、ウェストポートの3つの主要部分から構成され、120か国以上と取引しています。
  • タンジュン・ペラパス港

    タンジュン・ペラパス港は、マレーシアのジョホール州ゲラン・パタに位置する主要なコンテナ港です。2000年に開港し、港は東南アジアで重要な物流拠点であり、主にトランシップメント(積替え)貨物を取り扱っています。

主要な空港

  • クアラルンプール国際空港

    クアラルンプール国際空港は、マレーシアのセランゴール州セパンに位置し、1998年に開港しました。マレーシア航空とエアアジアグループの主要拠点です。空港はメインターミナル、サテライトターミナルA、LCCターミナル構成され、3本の滑走路を有します。

マーケット・政策について

ブミプトラ政策によるマレー系優遇政策

ブミプトラ政策は、マレーシアにおける多民族国家の安定と繁栄を目的とした政策で、1971年に導入され、憲法にも規定されています。独立当初、マレー系は経済的に中国系やインド系に比べて大きく遅れていました。この政策は、マレー系が経済活動に参加し、経済的地位を向上させることを目的としています。教育、雇用、経済活動など、さまざまな分野においてマレー系に優遇措置を設けています。

例えば、経済活動においては、特定業種では外資参入の際に一定割合の資本をブミプトラまたはマレー系が保有しなければならなかったり、政府系企業の経営陣にブミプトラを登用したりすることを義務付けています。

物流の円滑化を加速

マレーシア運輸省は、2024年1月1日からマレー半島部でASEAN通過貨物円滑化枠組み協定(以降、AFAFGIT※3)に基づく越境輸送の円滑化を適用すると発表しました。AFAFGITは1998年に締結された枠組み協定で、ASEAN自由貿易地域実現のために域内の輸送と貿易促進を目的としています。

AFAFGIT実施のために開発されたのがASEAN税関トランジットシステム(以降、ACTS※4)です。ACTSの導入により、従来必要だった国境での通関手続きや車両の積替えが不要になり、一度の税関申告で通過国での再申告が不要となります。

また、世界銀行が発表した2023年版物流パフォーマンス指数(以降、LPI※5)において、マレーシアはASEAN諸国の中で2位に評価されました。LPIはシンガポールに次ぐ3.6ポイントで、前回2018年の41位から大きく順位を上げています。


規制・リスク対応について

国内物流の課題と外資規制

マレーシアは日本とほぼ同じ国土面積を持ちますが、多くの企業が国内の遠隔地への配送時間の長さを課題と感じています。一例として、ある日系メーカーは東海岸への納品に5日、東マレーシアへの配送には2週間を要すると報告しています。

さらに、物流会社の数が不足していることも問題となっており、業界の競争や改善が進みにくい状況にあります。この背景には、物流業における外資企業参入に対する制限が一因として挙げられます。物流業への参入には外資の出資比率が49%以下であること、さらにブミプトラ資本が30%以上を占めることが条件とされており、これらが参入障壁となっています。

※3:ASEAN Framework Agreement on the Facilitation of Goods in Transitの略。
※4:ASEAN Customs Transit Systemの略。
※5:Logistics Performance Indexの略。



タイの物流事情

タイの物流事情


物流インフラについて

港湾

  • バンコク港

    バンコク港(クローントゥーイ港)はタイの首都バンコクに位置する主要な河川港で、1951年に開港しました。チャオプラヤー川の河口から約30kmに位置し、公営のバンコク港と私営のコンテナターミナルから構成されます。水深は8.5~11mと浅いため、近年の大型コンテナ船には対応が難しいことが課題です。
  • レムチャバン港

    レムチャバン港は、タイ中部のチョンブリー県に位置する代表的な港湾で、1991年に開港しました。コンテナ化に対応する国際貿易港として発展し、1997年にはバンコク港を抜いてタイ最大の港となりました。

空港

  • スワンナプーム国際空港

    スワンナプーム空港は、タイのバンコクに位置する国際空港で、2006年に開港しました。年間利用者数は約6,000万人に上り、東南アジアの主要なハブ空港の一つです。空港には4,000m滑走路があり、世界でも有数の規模を誇ります。
  • ドンムアン空港

    ドンムアン空港もタイのバンコクに位置する国際空港で、かつてバンコクのメイン空港として機能していましたが、現在は格安航空会社の拠点となっています。3つのターミナルがあり、年間利用者数は3,000万人以上です。航空歴史の長い空港で、タイ国内外への多くのフライトを提供しています。

マーケット・政策について

大メコン経済圏(以降、GMS※6

GMSは、タイを中心としたASEAN諸国の重要な物流拠点で、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの5か国と中国の雲南省、広西チワン族自治区が含まれます。タイはGMS内の3つの経済回廊(東西、北南、南北)を通過し、地域全体の物流を支えています。これにより、効率的な物流ネットワークが構築され、経済成長と貿易の促進に寄与しています。

GMS内では、道路、鉄道、港湾などのインフラが整備され、物流効率が向上しています。また、GMS内の国々間での関税優遇や手続きの簡素化が進められ、貿易が活発化しています。


規制・リスク対応について

政治的課題と社会変化

タイでは定期的に大規模な政治的変動が見られ、社会の変革期にあると言えます。経済発展に伴う格差の是正や、憲法改正を含む政治制度の見直しを求める声も上がっており、社会の変化が続いています。このような変革期にある政治・社会情勢は、進出を検討する日系企業にとって慎重に考慮すべき要素となっています。

電子通関システムE-Customsの使用

タイへの貨物の輸入または輸出を行う際、輸入者や輸出者は税関に対して付属書類を添えて通関申告を行う義務があります。この通関手続きには電子通関システムのE-Customsが利用されます。E-Customsは、複数の機能を備え、輸出者向けの優遇税制とも連携しています。

一方、2022年1月1日から関税令7号の改正によりHS2022※7をベースとしたAHTN2022※7が新たな関税品目分類コードとして適用されるなど、制度面での変更も見られます。輸入業者や輸出業者は、最新の規則や電子システムを理解し、適切に対応していく必要があります。タイでの輸出入業務では、書類準備や税関手続きにおける正確性が一層求められています。

※6:Greater Mekong Sub-regionの略。
※7:関税品目分類コード。



シンガポールの物流事情

シンガポールの物流事情


物流インフラについて

主要な港湾

  • シンガポール港

    シンガポール港は、シンガポールに位置する世界有数の重要な港で、年間取扱貨物量では世界トップクラスです。主要な国際ハブとして、アジア、ヨーロッパ、アメリカを結ぶ重要な貿易ルート上にあり、世界中の600以上の港と連結しています。港は高度に自動化され、効率的なコンテナ処理システムを備えています。また、自由貿易港としての機能を持ち、取引や物流の中心地としての役割を果たしています。

主要な空港

  • チャンギ国際空港

    シンガポール・チャンギ国際空港は、シンガポールの主要な国際空港で、1981年に開港しました。年間旅客数は約6,800万人で、世界屈指のハブ空港の一つです。空港には4つのターミナルがあり、サービスの質の高さで知られています。ターミナル5の建設も進行中で、完成すればさらに旅客・貨物の処理能力が向上します。

マーケット・政策について

LPIランキング1位(2023年評価)

シンガポールは、世界銀行のLPIで常に上位にランクインしています。2023年の評価では世界1位となり、物流サービスの質の高さとインフラの整備状況が評価されています。

さらに、シンガポールは世界の主要な航路・航空路が集中しており、グローバルな物流ネットワークの拠点として非常に有利な条件を備えています。123か国の600港および200社の海運会社がシンガポール港に接続し、航空貨物ターミナルを備えたチャンギ国際空港の年間取扱量は300万トンに上ります。

デジタル技術による倉庫の自動化を推進

2022年、シンガポール政府は、エレクトロニクス、精密エンジニアリング、エネルギー・化学、航空宇宙、物流の5業界における産業変革を後押しするためのロードマップ(以降、ITMs※8)を刷新することを発表しました。ITMsは革新的なビジネスモデルや新技術の導入を促す政府のロードマップです。

物流分野では、デジタル化による倉庫業務の効率化や、中小企業支援策の強化が盛り込まれています。ITMsの刷新を通じ、各業界がデジタルトランスフォーメーションを加速し、生産性と競争力の向上が期待されています。


規制・リスク対応について

ASEANの中でも特に物価が高い

シンガポールでは、生活必需品や公共料金、食費、交通費、衣料品などの物価は日本とさほど変わりません。しかし、自動車関連費用と住宅費が非常に高額であることが特徴的です。交通インフラが充実しているため自動車は不要ですが、狭い国土ゆえに不動産価格は高止まりしており、東京の一等地以上の家賃や分譲価格も珍しくありません。

オフィス賃料や人件費も例外ではありません。1人当たりGDPが日本を上回るシンガポールでは、日本以上の生活費が必要となるため、進出時には十分な考慮が求められます。

新たな貿易管理プラットフォームの使用

シンガポールで事業を行うには、まず会計・企業規制庁(以降、ACRA※9)に会社登記を行う必要があります。この際、個別企業登録番号(以降、UEN※10)がACRAから発行されます。UENはシンガポール税関への登録が義務付けられており、2009年以降、政府機関への各種申請で使用される統一企業識別番号です。

2018年9月、シンガポール税関は新たな貿易管理プラットフォーム(以降、NTP※11)を開始しました。従来の「トレードネット」「トレードエクスチェンジ」に代わり、NTPでの輸出入申告手続きが求められます。この際、シンガポール税関に登録されたUENが必須の識別番号となります。

※8:Industry Transformation Mapsの略。
※9:Accounting and Corporate Regulatory Authorityの略。
※10:Unique Entity Numberの略。
※11:Networked Trade Platformの略。



インドネシアの物流事情

インドネシアの物流事情


物流インフラについて

主要な港湾

  • タンジュンプリオク港

    タンジュンプリオク港は、インドネシアのジャカルタに位置する主要な港で、国内最大のコンテナ港です。港は近代的な設備を備え、世界中の多くの主要港と接続されています。また、タンジュンプリオク港はジャカルタの工業地帯に近接しており、効率的な物流を支えています。
  • タンジュンペラク港

    タンジュンペラ港は、インドネシアのスラバヤ市北部に位置し、マドゥラ海峡に面しています。インドネシア第二の港として、国際貿易や東部地域の諸島を結ぶ海運輸送の拠点です。埠頭やバースの拡張が進行中で、24時間体制で運営されています。

主要な空港

  • スカルノ・ハッタ国際空港

    スカルノ・ハッタ国際空港は、インドネシアのジャカルタ郊外に位置する国際空港で、1985年に開港しました。年間利用者数は6,000万人を超えています。ガルーダ・インドネシア航空などの拠点となっています。3本の滑走路と複数のターミナルがあり、主要な国際線および国内線を取り扱っています。

マーケット・政策について

物理的なインフラ構築に課題

インドネシアは近年、物流インフラとサプライチェーンの強化に力を入れていますが、物流・サプライチェーンサービスは発展途上にあり、先進国の基準と比較すると、さらなる改善の余地があります。このため、インドネシア政府は手頃な価格で質の高いサービスを提供できる物流産業の発展をめざしています。

物流インフラ整備への取り組みは、ジョコ・ウィドド政権下で本格化しました。政権就任後すぐにインフラ投資が開始され、新設の高速道路、港湾、空港などが整備されました。


規制・リスク対応について

追徴課税について

インドネシアの税制は複雑で、さらに、近年税務調査の結果として追加課税が行われるケースも報告されています。

また、国家予算の大部分を占める税収を確保するため、特定の取引に関しては企業の予測収益に基づく法人税前納制度を導入していますが、実績との差異が生じる可能性があります。税制は経済状況に応じて見直される可能性がありますが、現時点では各企業の個別対応が重要となっています。

輸入手続きなどの運用状況に留意

インドネシアにおける事業環境の一つの特徴として、政策運営の複雑さが挙げられます。多くの日系企業にとっては、貿易手続きの効率化、特に輸入ライセンス取得プロセスの合理化が期待されています。多くの製造業が原材料や部品を海外から調達しており、輸入物品ごとに異なるライセンスが必要です。しかし、その規制が頻繁に変更されるため、調達の遅れリスクに注意を払う必要があります。



フィリピンの物流事情

フィリピンの物流事情


物流インフラについて

主要な港湾

  • マニラ港

    マニラ港はフィリピンのルソン島に位置し、フィリピン最大の港湾です。北港、南港、マニラ・インターナショナル・コンテナターミナルなど複数のターミナルを有し、国内外の貨物取扱量の大部分を占めます。

主要な空港

  • ニノイ・アキノ国際空港

    ニノイ・アキノ国際空港はフィリピンの首都マニラに位置する主要な国際空港です。空港は4つのターミナルを持ち、フィリピン航空、セブ・パシフィック航空などのハブ空港として機能しています。国際線・国内線ともに多くの航空会社が就航しており、国内外の主要な目的地への航路を提供しています。

マーケット・政策について

外資規制緩和による物流費の低減

フィリピン競争委員会(PCC※12)は2021年、運送業における競争環境に関するレポートを公表しました。そこでは、従来の外資規制により少数のローカル企業が市場を牽制し、競争が阻害されてきたと分析しています。競争不足が物流コストの高止まりにつながっていると指摘されています。

しかし、近年のフィリピン政府による外資規制緩和を受け、外国企業の新規参入が活発化する兆しがあります。これにより、先進的な物流技術や経営ノウハウが持ち込まれ、運送業全体の生産性向上が期待されています。さらに、寡占状態の改善を通じて企業間競争が促進され、物流コストの引き下げにもつながると予想されます。


規制・リスク対応について

インフラ自体にも問題あり

フィリピンでは、道路インフラの一部エリアの未整備更が物流の課題となっています。道路舗装率は周辺国に比べて低く、マニラ市内では慢性的な交通渋滞が経済損失を引き起こしています。

また、国内物流の要となるマニラ港へのアクセス道路整備も遅れており、港湾からの渋滞緩和策として港内へのトラック出入り規制が講じられています。フィリピンでは陸路輸送が旅客・貨物輸送の大宗を占めるものの、インフラ面での遅れが目立ちます。鉄道もマニラ近郊に限定されるなど、総合的な交通インフラ整備が大きな課題です。

高いフィリピンの物流コスト

高コストも物流の大きな障害です。島国ゆえに海運・空輸への依存度が高く、さらに税関の非効率、外資規制、インフラ遅延などが物流コストを押し上げる要因となっています。

輸入商品許可証(以降、ICC※13)の発給

フィリピンでは、貿易産業省製品標準局(以降、BPS※14)が定める「フィリピン国家規格」に該当する輸入品については、ICCの取得が義務付けられています。ICCは、輸入される製品の品質がフィリピン国家規格、またはBPSが認める国際規格や外国規格を満たしていることを証明するものです。

一定の品質基準を満たさない輸入品については、フィリピン国内への搬入が認められません。輸入業者は対象製品について、ICCを事前に取得しておく必要があります。

※12:Philippine Competition Commissionの略。
※13:Import Commodity Clearanceの略。
※14:Bureau of Philippine Standardsの略。



ベトナムの物流事情

ベトナムの物流事情


物流インフラについて

主要な港湾

  • サイゴン港

    サイゴン港はベトナムのホーチミン市に位置し、サイゴン川に面する主要な河港です。30,000DWTクラスの船舶が入港可能です。歴史的には仏領インドシナ時代から重要な貿易港として機能しており、現在も南ベトナムの輸出入の拠点です。
  • ハイフォン港

    ハイフォン港は、ベトナム北部の主要な港で、紅河の河口に位置します。ベトナム第2の規模を誇るこの港は、コンテナ貨物や石油製品を主に取り扱っています。また、近隣にはラックフェン港が2018年に開港し、港湾能力の向上が図られています。

主要な空港

  • タンソンニャット国際空港

    タンソンニャット国際空港は、ベトナムのホーチミン市に位置する主要な国際空港で、1930年代に開港しました。現在はベトナム航空やベトジェットエアの拠点として機能し、年間2,600万人以上の旅客を扱っています。空港は2つのターミナルを持ち、国内線と国際線をそれぞれ専用に運用しています。

マーケット・政策について

2030年、2045年に向けたビジョン

ベトナム共産党は2021年1月25日から2月1日にかけて、5年に一度開催される全国代表者大会を開催し、第13期指導部の人事を決定するとともに、第12期の実績評価と今後の党および国家の方針を決定しました。この中で、次のような中長期の目標と2021年から2025年の主要な社会・経済発展指標が示されました。

  • 2025年(南北統一50周年)までに近代的工業国として下位中所得国の地位を脱する
  • 2030年(党設立100周年)までに近代的工業国として上位中所得国となる
  • 2045年(建国100周年)までに高所得の先進国入りを果たす

物流分野においては、政府がビジョン2030に基づき、インフラ整備と人材育成を重点的に推進する方針です。具体的には、2030年までに5,000km超の高速道路網を整備することが計画されています。また、一般国道の開発と海岸道路の建設も進められます。


規制・リスク対応について

インフラ面に課題あり

ベトナムの物流インフラには課題が残されています。まず、空港、港湾、倉庫などのインフラが全国的に標準化されていない点が挙げられます。北部と南部で倉庫管理システムが異なるため、物資の広域輸送には異なるシステムへの対応が求められます。これに加え、レンタルコンテナ不足と相まって、全体の輸送コストが上がる傾向にあります。また、倉庫などの保管施設においても、セキュリティなどソフト面を含めたインフラ整備が整っていないケースが多いです。

人材面でも課題が残り、非熟練労働者対策のさらなる整備が期待されています。




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