ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済・物流事情
ASEAN(東南アジア諸国連合)の経済・物流事情
ASEAN地域は今後も力強い経済成長が見込まれています。その背景には、総人口と労働力人口の増加があります。
2023年時点のASEAN10か国の総人口は約6.9億人です。2021年より約1.7%増加しており、1960年以降緩やかな増加を続けています。
単位:人
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
マレーシア | 33,573,874 | 33,938,221 | 34,308,525 |
タイ | 71,601,103 | 71,697,030 | 71,801,279 |
インドネシア | 273,753,191 | 275,501,339 | 277,534,122 |
シンガポール | 5,453,566 | 5,637,022 | 5,917,648 |
フィリピン | 113,880,328 | 115,559,009 | 117,337,368 |
ベトナム | 97,468,029 | 98,186,856 | 98,858,950 |
ミャンマー | 53,798,084 | 54,179,306 | 54,577,997 |
カンボジア | 16,589,023 | 16,767,842 | 16,944,826 |
ブルネイ | 445,373 | 449,002 | 452,524 |
ラオス | 7,425,057 | 7,529,475 | 7,633,779 |
計 | 673,987,628 | 679,445,102 | 685,367,018 |
参照元:World Bankのデータを元にロジスティードソリューションズにて作成(https://data.worldbank.org/)
こうした人口増加に伴い、ASEAN主要5か国の労働力人口は2021年から2023年にかけて約5%増加しています。
単位:人
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|
マレーシア | 16,996,006 | 17,129,366 | 17,307,639 |
タイ | 40,356,693 | 40,907,648 | 40,813,511 |
インドネシア | 134,381,715 | 138,099,490 | 140,931,083 |
シンガポール | 3,418,165 | 3,540,908 | 3,619,025 |
フィリピン | 44,606,252 | 47,871,825 | 49,477,060 |
計 | 239,758,831 | 247,549,237 | 252,148,318 |
参照元:World Bankのデータを元にロジスティードソリューションズにて作成(https://data.worldbank.org/)
ASEANでは2021年以降、外国資本の受け入れを促進するための外資規制緩和の動きが活発化しています。新型コロナ禍からの経済回復を図る狙いがあると考えられます。
インドネシアでは投資事業分野に関する大統領規程2021年第10号が制定され、自動車、鉱物資源関連、インフラ、デジタル産業などが外資優先業種に指定されました。フィリピンでは小売業の外資規制を緩和する法案が成立されました。ベトナムでは投資法(61/2020/QH14)改正で外資への禁止・制限業種など曖昧だった規制が明確化されました。
これにより、外資企業の参入ハードルが下がり、ASEAN地域の経済成長と雇用創出が期待されています。
また、ASEANでは自由貿易協定(以降、FTA※1)が締結されており、関税撤廃や貿易の自由化が進んでいます。
FTAとは、加盟国間で関税を撤廃または削減し、物品・サービスの移動を自由化する協定です。ASEANではASEAN自由貿易地域(AFTA※2)が発効しているほか、日本とのFTAも締結されており、ビジネスでのメリットは多くあります。
※1:Free Trade Agreementの略。
※2:ASEAN Free Trade Areaの略。
ASEAN地域では経済発展に伴い、物流ニーズが高まっています。各国政府は物流のインフラ整備を進めるとともに、物流の効率化や高度化に向けた取り組みを行っています。一方で、一部の国では未整備なインフラや行政手続きの非効率さも存在しており、対策が求められています。