サントリーグループで培った物流ノウハウを活かし、
あらゆるお客様に物流サービスを提供する一般貨物事業の基盤として、
複数荷主への展開が容易なONEsLOGI Cloudを採用しました。
サントリーグループで培った物流ノウハウを活かし、あらゆるお客様に物流サービスを提供する一般貨物事業の基盤として、複数荷主への展開が容易なONEsLOGI Cloudを採用しました。
クラウド型倉庫管理システム
(写真左上/左より、サントリーロジスティクス株式会社 経営企画部 中村 剛大氏、経営企画部 専任部長 土岐 悟氏、執行役員 経営企画部長 野原 浩敬氏
写真左下/左より、埼玉支店 課長 山下真吾氏、倉庫G 鎌田 菜那氏、部長 高橋 直樹氏、
上級執行役員 物流副統括 兼 東部支社長 保木本 英人氏
写真右下/左より、神奈川支店 倉庫担当 𡈽井 俊明氏、神奈川支店長 兼 甲府事業所長 中橋 昌宏氏)
サントリーグループの物流機能の中核会社であるサントリーロジスティクス株式会社(以下、サントリーロジスティクス)では、グループ外の荷主への一般貨物事業を積極展開するため日立物流ソフトウェアの「ONEsLOGI Cloud / WMS(以下、ONEsLOGI Cloud)」を導入しました。その経緯と効果について紹介します。
* 取材時期 2017年3月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
* 2023年4月1日付で、日立物流ソフトウェアはロジスティードソリューションズへ商号変更しました。
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「外販にも積極的に取り組んでいます」(野原氏)
サントリーロジスティクスは1960年の創業以来、ウイスキーやビール、ワインなどの酒類、さらにはウーロン茶や缶コーヒーをはじめとした清涼飲料など、サントリー製品の「輸送と保管」を中心に物流業務およびマネジメント業務を展開してきました。
一方、サントリーグループの製品輸送を担っているという事業優位性を強化しつつ、サントリーグループの枠を超えて物流業務の最適化を提案する企業として、幅広い分野の企業にサービスを提供、いわば「外販」にも積極的に取り組んでいます。
めざすべきは単なる事業拡大ではなく、物流品質の向上、効率化、コスト改善、環境負荷低減など、お客さまにも、お取引先にも、そして地球と社会の未来にも資する「結果としての成長」です。
サントリーグループの創業者・鳥井信治郎氏の言葉である「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」のチャレンジ精神は、サントリーロジスティクスに限らず私たちサントリーグループに脈々と受け継がれ、鋭気あふれる社風の原点となっています。
サントリーグループ各社の物流活動を担うことにより獲得したスキルとノウハウを基盤に、「安全」を最優先に物流の効率を高めるため、貨物・車両のマッチングだけでなく、拠点間の物流マネジメント、ローリー輸送、物流・ロジスティクス関連業務など、輸送に関する総合的なサービス体制を実現してきたこと。そして、荷主、お取引先、運送会社、ドライバー、関係各所等、さまざまな人と密なコミュニケーションを重ね、信頼関係を築いていることが、当社の強みだと捉えています。
「埼玉支店と神奈川支店でONEsLOGI Cloudを利用しています」(土岐氏)
サントリーグループ以外のお客さまに対する一般貨物事業におけるWMS(倉庫管理システム)として、ONEsLOGI Cloudを利用しています。当社では全国11カ所の拠点を展開していますが、現在一般貨物事業を実施しているのは埼玉支店と神奈川支店の2カ所となり、ONEsLOGI Cloudの利用拠点も同2拠点となります。
両拠点とも利用を開始したのは、2016年7月です。
クラウドなので、インターネットに接続できるPCがあれば各支店の事務所内はもちろん、本社(大阪府)からでも管理業務機能を利用・閲覧できるようになっています。
出荷業務にはHT(ハンディターミナル)を利用できるようになっており、その場合はモバイルWi-Fiルーターを使ってシステムにアクセスするようにしています。HTは、それぞれの支店に導入数は各事業所に3台ずつ導入しています。
通年でお取引をさせていただく荷主もいれば、数か月間だけスポットで業務を請け負う場合もあり、荷主数は常に変動しており、現時点では数社から多くて十数社といったところです。
品目数も荷主数によって異なります。単純な品目数だけを見れば、数品目から50品目以上におよぶこともありますが、同じ品目でも製造日や賞味期限などでロットごとの管理が必要な商品も少なくありません。
Cloud/WMSサービス利用イメージ
Cloud/WMSサービス利用イメージ
「2020年までに一般貨物事業の売上比率を2倍にすることを目指しています」(中村氏)
当社がこれまで培ってきたノウハウを駆使して、輸配送、保管、荷役・流通加工サービス、取り扱いオペレーションなど、高品質で総合的な一般貨物事業を展開しています。
飲料などの出荷数が落ちる閑散期、主に冬場には、保管スペースにも余裕ができますので、その空きスペースをスポット対応などで活用すること、さらには繁忙期に利用している外部の営業倉庫を活用する機会を増やすことで、新しい価値や利益を生み出す取り組みでもあり、将来的には一般貨物事業で培った経験やノウハウをサントリーグループの物流事業にフィードバックすることもねらいの1つとなっています。
当社ならではの経験やノウハウは大きな強みですが、当社とは逆に冬場が繁忙期となる食品メーカーさまとは、Win-Winの関係を築くことができています。中期計画では、2020年までに一般貨物事業の売上比率を現在の倍にすることを目標としています。
一般貨物事業を本格展開したのは2014年度からとなります。当社の戦略としても、荷主さま側の安心感という点からも、まずは慣れている食品や食品関連の原材料、梱包材といった品目が中心となっており、食品関連メーカーさまからの引き合いや関心が高いのが現状です。
ただし、それだけでは売上比率の倍増という目標を達成するのは難しいと考えており、また、当社ならではのノウハウを多種多様な業種や分野の商品に応用することは可能だと考えていますので、特に限定していくつもりはありません。
「表計算ソフトを使って、在庫管理や出荷指示をしていました」
(保木本氏)
サントリー製品物流におけるシステムは既に備わっておりますが、事業会社としての一般貨物事業に対応するシステムはまだ充実したものではありませんでした。
当社としても、一般貨物事業に関しては自分たちでコントロールができ、スモールスタートが可能なシステムが理想でした。そのため、当初は荷主や品目数も少ないことから、表計算ソフトや既存の伝票を使い手作業で、在庫管理や出荷指示をしていました。
荷主や取扱品目が増え、ロット管理が複雑化すると、表やタブで管理するのに手間や時間がかかるようになり、担当者への負担も増大してきました。また、特定の担当者しか業務をスムーズに遂行できないようになり、ちょっとしたミスが原因で手戻りやトラブルが発生しかねない状況も見られるようになってきました。
取扱量が増えれば、そのような状況になることはわかっていました。そのため、問題が発生する前に先手を打ってWMSの導入検討に入りました。当然、最初からコストと時間をかけてシステムをスクラッチで開発するつもりはなく、パッケージソフトを可能であればクラウドで利用して、初期費用や導入・構築に工数や時間をかけず、すぐに利用を開始できるシステムを前提に採用するシステムを選定しました。
「現場のメンバーもシステムの選定に加わりました」(高橋氏)
複数荷主への対応がスムーズなことや、できるだけカスタマイズをせず標準パッケージの機能で業務を実現できることも要件でした。一方、矛盾するかもしれませんが、パッケージの機能だけで業務が成立するか不安もありましたので、使い方や運用に関してもしっかりとサポートしてもらえることも要件として考えていました。
最初はネットで調べて、10社ぐらいに絞り込みました。その中の数社から説明を受け、具体的な提案をしてもらったり、デモンストレーションを見たりして絞り込んでいきました。選定のプロセスでは、本社だけでなく各支社の担当者にもデモンストレーションを見てもらったり、意見を聞いたりしながら選定を進めていきました。
「画面もわかりやすく、使い勝手も優れています」(山下氏)
システムに関しては、「操作性」や「拡張性」、「信頼性」がポイントとなりました。また、日立物流ソフトウェアの「対応力」や「経験」という点も大きな選定ポイントでした。各項目詳細は次の通りです。
各機能が使いやすく、操作の流れもスムーズ、画面もわかりやすいので使い勝手が優れているというのが現場からの評価でした。生産性を高めるためにも、担当者の属人化を防ぐためにも、習熟期間がかからないという点は重要なポイントでした。
ONEsLOGI CloudはWMSとしての完成度が高く、できるだけカスタマイズをせずに使うという方針は変わりません。しかし、実際に導入するとなると運用だけでカバーするのは厳しいかもしれない、という部分も見えてきました。当社の要望などに対して、順次機能拡張を積極的に検討してもらえるという点にも期待しました。また、万が一の場合、オンプレミスでの対応も可能だという点も安心感がありました。
「すぐに使いこなせるようになりました」(鎌田氏)
ONEsLOGI Cloudのベースとなっているシステムは、オンプレミス環境における稼働実績も豊富なので、機能が洗練されており信頼性も高いと評価しています。また、クラウドに関しても、日立物流グループである日立物流ソフトウェアが提供しているサービスなので、信頼性やセキュリティに関しても安心して利用できると判断しました。
日立物流ソフトウェアはプレゼンテーションのレベルがとても高く、常に当社の目線に立って不明点や要望に対しても迅速かつ丁寧に対応してくれました。また、東京(日立物流ソフトウェア、本社所在地)と大阪という距離を感じさせない迅速で、レベルの高い対応も高く評価しました。
物流に対する経験やノウハウが豊富で、理解度も高いことから、システムやサービスの提供だけでなく、今後、さらなる業務の改善や一般貨物事業を推し進めていく上で、ビジネスパートナーとしても信頼できる、期待できる存在だと評価しました。
「表計算ソフトによる、煩雑な作業から解放されました」(中橋氏)
現場の「業務負荷が軽減」されたとともに、「導入・運用負荷の軽減」、「提案力の向上」といった成果も上がっています。
現場においては、表計算ソフトによる煩雑かつストレスのかかる作業から解放され、複雑なロット管理や離れた場所で保管している品目でも、一元的かつシンプルに管理できるようになりました。
帳票のフォーマットやオペレーションが標準化かつ平準化されたため、作業が属人化せず、荷主が増えたり、品目が増えたりしてもスムーズかつ短時間に出荷の指示や在庫の管理ができるようになりました。
その結果、業務の品質や信頼性が向上するとともに、業務の効率化や作業時間全体の短縮につながっています。当社では、あらゆる面で働き方改革や作業者の負担軽減につながる施策に取り組んでおり、ONEsLOGI Cloudの貢献度は高いと捉えています。
「複雑なロットも一元的に管理できるようになりました」(𡈽井氏)
発注を決めてから、約1カ月もかからずに業務習熟までの試用が開始でき、3カ月後に本番環境のサービスの利用を開始することができました。本社の企画部門にとっては、システムの構築や開発に時間や工数をかけず、スムーズかつ迅速にWMSの利用を開始できたことは、効率化を推し進め、さまざまなリスク要因を排除するという点からも大きな成果だと捉えています。
また、システムの保守運用にもリソースを割くことなく、専門家に任せられること。機能の改善や向上がリアルタイムで反映されるということは、クラウド環境を採用して本当に良かったと考えています。
現場業務の流れやオペレーションが最適化されたことで、顧客に対して合理的かつ論理的な提案ができるようになりました。完成度の高いパッケージソフトを採用したことで、提案力や営業力の向上にもつながっています。
搭載されている機能では、荷主とのリアルタイムでの情報共有(閲覧のみ)などは、使い始めていきたいと考えています。また、複数指定引き当てなど細かな機能の改善や要望は、随時要望を出しており、機能アップの頻度も高いので期待しています。
日立物流ソフトウェアの対応にはとても満足していますが、改善された業務や機能に慣れてくると、もっと業務を効率化したい、もっと合理的に作業ができるようにしたいという欲が出てきます。これからも、無理難題を要望する場面も少なくないと思いますが、これまでと変わらない積極的かつ当社目線での対応に期待しています。
また、少し先の話になるかもしれませんが、AIやIoT、アナリティクスといったONEsLOGI Cloudの付加価値を高める機能の向上や先進的なインテグレーションにも期待しています。