香港における自社倉庫の入出庫管理や
在庫管理を効率化・精緻化するために求めていたのは、
すぐに使えるグローバル対応の日本製WMSでした。
香港における自社倉庫の入出庫管理や在庫管理を効率化・精緻化するために求めていたのは、すぐに使えるグローバル対応の日本製WMSでした。
クラウド型倉庫管理システム
(写真下左より、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
海外事業バックオフィスサポート本部 新規拠点システム戦略部 部長 夏目雅好氏、
株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス
海外事業バックオフィスサポート本部 新規拠点システム戦略部 Ning Cheung氏、
写真上右、Pan Pacific Retail Management (Hong Kong) Co., Ltd
Warehouse Logistics Manager Lemon Yip氏)
香港やシンガポールなどにおいて日本品質の製品を提供するジャパンブランド・スペシャリティストア「DON DON DONKI(ドンドンドンキ)」。香港において自社運営する物流倉庫では、ロジスティードソリューションズのWeb型倉庫管理システム(以下、WMS※)「ONEsLOGI/WMS Cloudサービス(以下、ONEsLOGI)」を用いて倉庫を管理しています。ONEsLOGIを導入した経緯と効果について紹介します。
※Warehouse Management System
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DON DON DONKIは、日本品質の製品を提供するジャパンブランド・スペシャリティストアです。2017年にシンガポールで初出店して以来、香港、マカオといったアジア圏において多店舗展開を進めながら、日本食・日本文化の魅力を発信しています。
DON DON DONKIの運営母体は、日本国内最大級の総合ディスカウントストアとして知られる「ドン・キホーテ」など、総合小売事業を多角的に展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)グループとなります。香港では2019年に1号店をオープンした後、約3年間で10店舗へと規模を拡大しており、現地での運営はグループ企業のPan Pacific Retail Management (Hong Kong) Co., Ltd(以下、PPRM)が担当しています。
国際競争力を持った新たな流通を創造し、香港における店舗開発を着実に進めてきた結果だと捉えていますが、そもそも北米やアジアではジャパンブランド品は品質が高く、安心で安全であると考えるお客さまが多くいらっしゃいます。そのようなお客さまに向けて、PPIHグループならではのスケールメリットやグループシナジーにより、価格優位性を確保していること、そして、高品質な日本の商品をお届けできることが私たちの強みだと考えています。
PPIHグループでは、今後も、日本の農畜水産物などを積極的に展開することで、日本国外におけるジャパンブランド品のさらなる認知向上と消費拡大に寄与してきたいと考えています。
「香港以外の地域においても、ONEsLOGIの導入を検討しています」(PPIH 夏目氏)
現在、香港では在庫型物流センター(DC:ディストリビューションセンター)を自社運営しています。ONEsLOGIはMD(マーチャンダイジング)システムと連携して、入荷した商品のロケーション管理といった入庫業務や、ピッキングや検品といった出庫業務、さらには棚卸業務などを管理するために利用しています。
基本的には標準機能で対応していますが、食品表示シールの添付といった加工作業のための仮ロケーションの管理や、マスターデータに登録されていないサンプル品などが入荷した場合の対応などについてはカスタマイズをしてもらいました。
現在、2拠点の自社運営倉庫に加え、外部倉庫1拠点において香港全店舗で取り扱う商品の保管・配送を担っています。その概要は次の通りです。
自社倉庫の延べ床面積(2箇所合計) | 約70,000平方フィート(約6,500平方メートル) |
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作業者数(3箇所合計) | 約30人 |
物量(月間平均) | 40フィートドライコンテナで50本~60本分 |
取り扱いアイテム数 | 合計約3,000アイテム(食料品約2,000、食料品以外約1,000) |
物流倉庫の様子
物流倉庫の様子
機能に関しては、順次カスタマイズしていきたいと考えており、ロジスティードソリューションズに相談もしています。また、他の地域でのDON DON DONKIにおいても自社流通倉庫の設置を検討中で、その際にONEsLOGIを導入できればと考えています。
「各店舗へと効率的かつ適切に商品を配送するために、自社運営の物流倉庫が必要だと考えました」(PPIH Cheung氏)
香港での出店当初、倉庫業務は外部委託していました。しかし、物量が増えたこともあり、4店舗目をオープンしたタイミングで自社運営する倉庫を設けることにしました。香港は不動産価格が世界でも最も高いと言われることもある場所なので、各店舗に大量の在庫をストックしておくことが難しく、各店舗へと効率的かつ適切に商品を配送するために、自社運営の物流倉庫が必要だと考えたからです。
しかし、自社倉庫を設けてからも店舗数や商品ラインアップは急増し、倉庫の通路まで商品があふれそうな状態でした。より広い倉庫へと移転するという方法もあると思いますが、香港の不動産事情からそう簡単なことではありませんでした。
また、ONEsLOGIを導入する前は、表計算ソフトを用いて手作業で倉庫管理業務を行っていました。そのため作業効率にも課題がありましたので、PPRMから本部に対し、システム化を図ることでロケーション管理や入出庫業務の効率化を図りたいという要望が上がり、WMSの導入を検討することになりました。
当社では基本的に物流業務は外部の協力会社へと委託することが多く、本格的に自社倉庫を運営したことがありませんでした。ましてやWMSを導入した経験や運用するためのノウハウもなく、WMSの導入を検討するにあたって自社で要件定義をするのも難しい状態でした。
当然、現地を含めた海外製品の採用も考えましたが、香港のIT担当者は新店舗出店や現地システムのサポート業務が主な担当のため、WMSの導入・運用を担当する余裕はありません。WMSに対する知識や言葉の問題がある中で、日本で海外製品の導入を検討するのは難しいけれども、日本のベンダーであれば、WMSの使い方や運用方法を相談しながら導入検討が可能だと考えました。
また、欧米のように広大な倉庫で在庫を管理するのとは違い、香港では日本と同様にコンパクトな倉庫におけるきめ細かな管理機能が求められます。実際、現在借りているテナントの1つも2フロアに分かれたコンパクトな倉庫となっています。そのような点も日本の製品を選んだポイントとなりました。
現場サイドからは、在庫管理、ロケーション管理、棚卸機能という基本的な機能要件に加え、経営サイドからいち早くWMSを稼働させて、非効率な状況を改善してほしいという要望を受けました。
その他、WMSの選定にあたっては、次のような要件をベースにWebサイトで調べ、ONEsLOGIを含めた数製品に候補を絞り込みました。
「通常作業だけでなく棚卸作業も、大幅に人員と作業時間が削減されました」(PPRM Yip氏)
ONEsLOGIを採用した理由としては、クラウドサービスなので、利用場所や導入場所を問わず、スピーディな導入が可能で、運用負荷もかからないこと。カスタマイズにも柔軟に対応してもらえること。日本国内有数の物流会社のグループ企業であり、信頼性や実績、リモートも含めたサポート対応などがしっかりしていること、などがポイントとなりました。
以前は、すべての作業を完了して集計を終えるまで、正確な在庫数などを把握できませんでしたが、ONEsLOGIの導入後はリアルタイムで作業状況を把握できるようになりました。
また、ロケーションを効率的に管理できるようになったこともあり、通常の作業時間は40~50%に短縮され、かつ作業者も約10人分を削減することができました。加えて棚卸作業に関して、これまで30人体制で2日間かかっていましたが、導入後は15人体制かつ1日で完了するようになりました。
導入検討時、当時の物量や倉庫の規模を考えるとONEsLOGIは少しオーバースペックかと考える場面もありましたが、サービスの信頼性やパフォーマンスが高く、今後のビジネスの拡大や他の地域での利用などを考えるとONEsLOGIを選択したのは間違いではなかったと確信しています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、香港はもとより日本国内でもすべてリモートで対応をお願いしなければならなかった状況で、ロジスティードソリューションズにはスムーズかつ丁寧に対応してもらえました。とても感謝しています。
多言語によるサポートのさらなる充実には期待するところではありますが、これからもロジスティクスの専門家としてさまざまな情報提供とともに、当社の良き相談相手になってもらえればと思います。
* 取材時期 2022年10月
* お客様の所属部署、役職等は取材時のものです。
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