RFIDによるフレコンのトレーサビリティを実現。
40種類、1万個におよぶフレコンの在庫・回収状況を、正確に把握できるようになりました。
物流容器管理システム
写真左より、ナイカイ塩業株式会社 業務部 係長 岡﨑 吉秀氏、業務部 課長代理 井上 隆道氏、
専務取締役 妹尾 康之氏、業務部長 大森 久雄氏、製造部 製品課 課長代理 河口 裕之氏
塩田時代から製塩業を続ける国内唯一の企業「ナイカイ塩業株式会社(以下、ナイカイ塩業)」。同社では物流容器管理システムを利用することで、1万個にもおよぶフレコンのトレーサビリティ管理を実現している。導入の目的と効果について詳しく話を伺いました。
*「フレコン」とは、「フレキシブルコンテナバッグ」の略称です
* 取材時期 2011年5月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
* 2023年4月1日付で、日立物流ソフトウェアはロジスティードソリューションズへ商号変更しました。
「塩事業を中心に、10社のナイカイ塩業グループが一体となり活動しています」
当社は1829年(文政12年)の創業以来、180年以上にわたり一貫して瀬戸内海に臨む備前児島(現在の岡山県)の地において、海水を利用した塩製品づくりに取り組んできました。塩田時代から継続して製塩業にたずさわる日本唯一の企業となります。
また現在では、食品や化成品といった塩関連製品のみならず不動産事業などにも進出しており、10社のナイカイ塩業グループが一体となり、お客様と地域に貢献する企業グループとして、「品質のナイカイ」「技術のナイカイ」を合い言葉に活動しています。
本社工場で製造した塩製品を運搬するフレコンにRFIDタグを装着し、そのトレーサビリティ情報をフレコン管理システムで管理しています。
フレコンは、「出荷時」「回収時」「洗浄後」、そして必要に応じて「修理/廃棄時」に、RFIDの情報をまとめて読み込みます。そのデータを出荷した製品のロット番号などと紐づけることで、どのフレコンが、どこに、どのような状態にあるのかを把握しています。また、フレコンの管理データベースに蓄積されたデータを分析することで、フレコンごとの回転率や出庫先別の数量などを簡単に分析しています。
注入する製品などにより40種類ほどのフレコンを利用しています。総数は約1万個になります。
フレコン管理システムの概要
フレコン管理システムの概要
「フレコンのステータス情報を一元管理するためにシステムを導入しました」
以前は、表計算ソフトを使ってフレコンの情報を管理していました。そのためフレコンが実際、どこに、いくつあるのかというステータス情報や個別の回転率などを正確に把握するのが困難でした。また管理だけでなく、回収・出荷時にフレコンを識別するための作業も大きな負荷となっていました。
RFIDタグを利用することで、フレコンのステータスを自動的に認識し、識別業務の効率化とステータス情報の一元管理を実現するためにシステムを導入しました。主なポイントは次の5つです。
「作業負担を軽減し、正確に情報を把握するためにRFIDは必須でした」
フレコン個体のステータスを把握するための作業負荷を軽減し、かつ正確に情報を取得するためにRFIDタグの活用は必須だと考えていました。RFIDであれば、フレコンを個別にチェックをしなくても一括で情報の読み込みが可能だからです。
しかし、フレコンに装着したRFIDタグに関して、当社の実業務の中での使用に耐えうるかどうか、万が一剥離して製品に混入してしまう可能性はないか、といった不安がありました。そのため耐久性などの確認も必要だと考えていました。
ソフトウェアに関しては、初期コストを抑えてスピーディに導入を図るために、フレコンの管理がパッケージ化されているものを導入できればと考えていました。手間と時間、コストがかかるので、自社でオリジナルのシステムを構築するつもりはありませんでした。
ただし、重厚長大なシステムになってしまうとコスト負担が大きくなってしまいます。当社に必要な機能を適正なコストで利用でき、ある程度のカスタマイズが可能なものを選択したいと考えました。
「安心してシステムの構築やサポートを任せることができると感じました」
次の4つの理由から、日立物流ソフトウェアにお願いすることにしました
RFIDタグの耐久性は、フレコン管理システムを導入する上での最重要ポイントです。実際にさまざまな耐久テストを行い、耐久性や性能に問題はないということがわかりました。
詳しい説明を受ける前は、機能が多彩でシステムの規模が大きすぎるかもしれないという印象がありました。しかし、実際に話を聞いてみると必要な機能に絞って導入でき、カスタマイズも可能だということがわかりました。大規模なシステムでも利用できるような高度な機能を、適正なコストで迅速に導入できると考えました。
検討段階時に、インターネットで検索をしていくつかの製品やベンダーを比較検討しました。日立物流ソフトウェアもその中の1社だったのですが、問い合わせをしたとき、もっとも迅速で丁寧に対応してくれました。導入時はもちろんですが、導入後のサポートなども考え、安心してシステムの構築やサポートを任せることができるベンダーだと感じました。
日立グループをはじめ、さまざまな業種業態のロジスティクスソリューションを手がけている日立物流のグループ企業として経験や実績が豊富なので、技術力が高く、高度なサポートを受けることができると考えました。
RFIDタグを装着したフレコンを用意して、実際に作業を行う現場で、「一括読み込み」「踏む」「叩く」「洗浄」「乾燥」といった実際の作業現場で起こりうることをすべて試しました。
さまざまなテストの結果、耐久性や読み取り精度に問題はないことがわかりましたが、実際に運用する上で、電波の出力範囲を調整したり、フレコンを読み取る作業スペースなどを決めたりしました。
RFIDタグの読み込み/耐久力テストの様子
RFIDタグの読み込み/耐久力テストの様子
総合的にフレコンを管理するために、登録する標準情報を決定のうえ各RFIDに登録しました。フレコンの数が多いので、データの登録作業とRFIDタグの装着作業は少し手間がかかりましたが、システムの管理用にサーバを1台導入するだけで済み、あとは各作業現場にRFIDリーダーを導入しました。
「フレコンを効率的に利用できるようになり、作業負担も軽減されました」
正確なフレコンの利用可能在庫数や出荷先での滞留数を把握でき、フレコン個体のライフサイクルも管理できるようになったことから、効率的にフレコンを利用できるようになりました。
まだ導入したばかりですので具体的な数値として実績を把握できていませんが、余剰在庫を持ったり、必要なときにフレコンが足りないといったことがなくなるので、コスト削減効果は大きいと期待しています。
また、出荷時や回収時、洗浄時にまとめてフレコンの情報を読み込めるようになったので、現場の作業負荷が大幅に軽減されました。同時に管理者側でも、詳細な分析を迅速かつ正確に行うことができるようになり、管理業務の効率化と精度の向上が実現されました。
具体的なことは決まっていませんが、RFIDを利用して他の容器や資材を管理したり、本社以外の拠点にも展開できればと考えています。
また、そのような環境が整ってくれば、製造から流通までを一貫して管理できるサプライチェーンを確立できるようになると考えています。
使い勝手もよくとても満足していますが、現在、フレコン管理システムからCSVデータを出力してデータの分析やレポートの作成を行っているので、システムの中に簡易レポート機能などがあれば便利だと思います。
普段はメールやリモートでのサポートをお願いしていますが、必要に応じて東京から駆けつけていただけるのでとても助かります。また、当社と社風が似ており、お付き合いしやすいベンダーだと思っていますので、今後とも末永く当社のビジネスをサポートしていただくことを期待しています。