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グローバルでのガバナンス強化とデータドリブン経営の実現をめざし
ERPの刷新を計画。海外含む約40拠点に約2年半で導入し
グループ全体の内部統制と業務の標準化を達成しました。

グローバルでのガバナンス強化とデータドリブン経営の実現をめざし、ERPの刷新を計画。海外含む約40拠点に約2年半で導入し、グループ全体の内部統制と業務の標準化を達成しました。

ロジスティード株式会社 様

統合型ERPソリューション「 Microsoft Dynamics 365 」

写真左より、ロジスティード株式会社 二澤 憲一氏(財務戦略本部 経理財務部 経営サポートG 部長補佐)、
ロジスティードソリューションズ株式会社 熊田 静氏(ERPビジネス事業部 ERPビジネス部 チーフプロジェクトマネージャ)

Microsoft Dynamics 365 (以下、 Dynamics365 )を導入したロジスティード株式会社(以下、ロジスティード)。めざす姿「LOGISTEED2030」(売上高1兆5000億円、海外比率50%以上など)の達成に向けたグローバルでのガバナンス強化とデータドリブン経営の基盤構築を目的に、既存ERPを刷新しました。その経緯と効果について紹介します。


もくじ
  1. グローバルに3PLとフォワーディング事業を展開する「ロジスティード」
  2. ガバナンス強化を目的に Dynamics365 を導入
  3. 既存ERPのサポート終了とめざす姿「LOGISTEED2030」の達成に向けてのガバナンス強化
  4. 価格優位性のある Dynamics365 を短期間でグローバルに展開
  5. グローバルでの統一管理により、内部統制とガバナンス向上を実現
  6. グローバルでのデータドリブン経営に資するデータ利活用に取り組む

1.グローバルに3PLとフォワーディング事業を展開する「ロジスティード」

―― ロジスティードについてご紹介ください。

当社は3PL事業とフォワーディング事業、重量機工事業からなるスマートロジスティクスを事業の柱としており、国内外に広がるネットワークや豊富な実績を有し、顧客の多様な物流ニーズにワンストップで応え、グローバルサプライチェーンにおいて最も選ばれるソリューションプロバイダとなることをめざしています。

―― ロジスティードの強みはなんですか。

1950年の創業から続く豊富な実績と、輸送・保管にとどまらないシステム物流の総合力です。倉庫運営から在庫・受発注管理、流通加工、輸配送まで、サプライチェーン全体の設計・運営が可能です。アジア全域・北米・オセアニアをはじめとするグローバルネットワークを擁し、国内から海外展開まで一気通貫で対応できる点が大きな強みであり、「日本を本拠地とするグローバル物流会社」へと発展しています。

2.ガバナンス強化を目的に Dynamics365 を導入

―― 現在ご利用いただいているシステムの概要を教えてください。

海外22の国と地域における約40拠点に Dynamics365 を導入し、購買から請求・会計までのプロセスを一気通貫で対応できる業務プロセスを構築しました。短期導入をめざして業務プロセスを本社側で規定するフェーズを設け、さらに Dynamics365 領域以外でのワークフロー、MDM(Master Data Management:マスターデータ管理)といった共通化する部分を合わせてグローバルテンプレートとして定義しています。承認ワークフローの追加によるガバナンス強化に加え、勘定科目や組織のマスターデータをグローバルで統一したことで、顧客別収支などの収益分析に向けたデータ利活用を可能とする基盤を整備しています。固定資産・リース管理モジュールでは現地税制に対応し、ROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)やCAPEX(Capital Expenditure:資本的支出)分析に必要なデータ蓄積ができるようにしています。経費精算、銀行取引や決済・支払管理もカバーし、将来的なキャッシュフロー予測基盤やグローバルでの統一運用基盤の構築を実現しています。

システム概要図

システム概要図

3.既存ERPのサポート終了とめざす姿「LOGISTEED2030」の達成に向けてのガバナンス強化

―― Dynamics365 導入に至る背景を教えてください。

3つの理由があります。1つ目は既存ERPのサポート終了です。海外現地法人46社で稼働していたERPの保守サポート切れが迫っており、サポート延長による追加費用の発生や、問題発生時に十分なサポートが受けられないリスクが顕在化していました。

2つ目はM&Aでグループとなった企業が有する、独自運用されてきたERPの老朽化です。システムのブラックボックス化が進み、マニュアル運用によるデータ改ざんリスク、システムのサポート切れ、メンテナンスコストの増大など、企業競争力の低下につながる複合的なリスクに直面していました。

3つ目はグローバルでデータモデルが統一されていなかったことです。拠点ごとにシステムやコード体系が異なるため、全社共通項目でのレポート作成や、同じ粒度でのデータ分析、可視化ができませんでした。データドリブン経営の実現のためには、MDMの構築が必要でした。

4.価格優位性のある Dynamics365 を短期間でグローバルに展開

―― Dynamics365 を選んだ理由を教えてください。

第1にランニングコストの優位性です。 Dynamics365 はユーザー課金中心のライセンス体系のため、長期的なコストの見通しが立てやすいという利点がありました。第2に開発・保守人材の確保です。より汎用的な技術スタッフでの保守が可能な Dynamics365 への移行は中長期的なリスク低減になると考えました。第3に既存のIT環境であるMicrosoft製品との親和性の高さです。将来的なCopilot・AI機能のリリースや、Power BIなどを活用したデータ利活用、業務効率化に向けた拡張性の高さも重要な判断材料となりました。第4に対応言語と標準機能の充実度です。各国言語の対応ができ、リース会計、購買、経費精算といった、当初追加検討を想定していた周辺機能が標準パッケージでカバーされており、追加開発コストを抑えながら、グローバルテンプレートを構築できる点は大きな魅力となりました。

―― ロールアウト(展開)が成功した要因を教えてください。

「業務 × IT」を念頭においた両輪体制を構築し、ロジスティードソリューションズがプロジェクトを全体推進しながら、ロジスティードが負荷のかかる現地法人を業務目線でサポートすることにより、スピードアップを図りました。また、国内や東南アジア、欧米など、 Dynamics365 のグローバルな導入知見を持つ株式会社日立ソリューションズグループを中心にマルチベンダー体制を整備し、全体を統括する強力なリーダーシップを主眼とした推進体制を構築することにより、全体統制を図りました。

予定通りにロールアウトを完了できた要因となったのが2つの機能「セントラル」(中央・一元化)と「ロールアウト」です。セントラルは日本に配置し、コンサル・他ベンダーからバイリンガル人材を集めて少数精鋭部隊を構築し、トップダウンによるスピーディーな意思決定をおこないました。ロールアウトでは、現地語や時差を加味したロールアウトチームを構成したうえで、各チームリーダーが一定の裁量をもってプロジェクトを主体的に遂行できる体制を整備しました。セントラルへエスカレーションすべきものとそうでないものをルール化し、一部権限委譲をおこないながらスピードアップをめざしました。さらに、セントラル側が随時キャッチアップできる仕組みをつくりながら、潜在リスクの洗い出しをおこない、機動的な対応に配慮しました。その結果、目標通りにグローバルでの実装を実現しました。

―― ロジスティードソリューションズのプロジェクトマネジメント力、課題解決力はいかがでしたか。

リスクになりそうな点は週次の会議でチェックしながらも、ステークホルダー間の意見の対立や想定外の課題が起こったときには、個別の打ち合わせを頻繁におこなっていました。また、懸念事項発生時には、現地のご理解やご協力をいただきながら、時差のある中で日程調整をし、オンラインでのミーティングを随時開催していただいたことでスピーディーな進行に寄与していました。軸を持ちつつも柔軟な対応でさまざまな壁を乗り越えていました。

―― 発生した課題を具体的に聞かせてください。

現地法人から安価な現地ベンダー利用を要望されたことがありました。ローカリゼーション機能を除いては資源の一元管理を徹底し複数拠点・複数リージョン同時導入時に高リスクとなるデグレーションの防止に努めました。このときは一元管理の体制の原則を貫きました。

ほかには、 Dynamics365 の特徴の1つであるデータテンプレートの多さに苦労しました。グローバルテンプレート管理とローカル管理に分け、レガシーERPシステム知見を持つ日本側で全体推進をしながら本社部門と連携することで本番移行を乗り切りました。結果、既存ERPから Dynamics365 にデータ移行するノウハウをロジスティードグループ全体で蓄積できたと思います。

5.グローバルでの統一管理により、内部統制とガバナンス向上を実現

―― 導入後の効果を聞かせてください。

定量的な効果として最も顕著なのは、レポーティング業務の大幅な効率化です。月次決算報告のレポート作業は、従来は約8時間かかっていましたが、約10分未満に短縮されました。勘定科目や組織のマスターデータをグローバルで統一的な管理方法へ移行し、全社共通のデータ基盤が整ったことで、財務報告書の活用が格段に容易になりました。

定性的な効果としては、内部統制とガバナンスの強化が挙げられます。従来は入力者と承認者が同一となるケースがあり、ガバナンス上のリスクが考えられましたが、 Dynamics365 導入により承認ワークフローが整備され、誤計上などのリスクを抑制する体制が構築されました。購買から請求・会計までをシステム内で一気通貫に処理できるようになったことで、データ改ざんリスクの低減と業務プロセスの透明性が向上しています。また、全社統一のコード体系とMDMの基盤整備により、グローバルで一貫したデータ分析基盤が確立しつつあります。さらに、全社共通システムの導入による業務プロセスの標準化、AIを活用した業務の省力化・半自動化を実現するDX基盤の構築を推進しています。

―― 特に印象的だった変化があれば教えてください。

グローバルテンプレートの展開により承認統制が強化され、これまで属人的な運用に依存していた業務プロセスがシステムによって統制される体制へと移行しました。小規模な海外拠点も含め、統一されたERPで業務が可視化されることで、グループ全体の内部統制が強化されています。

一方で、承認プロセスの強化により現場の業務工数が増加するという新たな課題も浮き彫りになりました。ガバナンス強化と現場の業務効率のバランスをいかに取るかは、今後の課題であり、承認フローの最適化などの継続的な取り組みが必要です。

6.グローバルでのデータドリブン経営に資するデータ利活用に取り組む

―― 今後の展開を教えてください。

Dynamics365 未導入拠点への対応です。一部、 Dynamics365 以外を導入する拠点がありますが、その場合もグローバルテンプレートに準拠し、他拠点と遜色のないデータ連携・利活用ができるように統一を進めます。

さらに、データ利活用の推進を強化します。 Dynamics365 をグローバルでのデータドリブン経営のコックピットとして機能させ、データ分析からトップラインの拡大へとつなげていきます。

そのための土台として、 Dynamics365 の機能の利用促進に取り組みます。現場での活用が十分に浸透していない機能があるので、定期的な現場ヒアリングや教育の実施、新機能の紹介など、継続的にロジスティードソリューションズグループがサポートします。導入効果の新たな創出に向けたBC(Benefit Creation)活動の推進も重要なテーマです。システムを入れて終わりではなく、活用を深めることで定量・定性の両面から効果を可視化し、さらなる改善につなげます。

ロジスティード 二澤氏

「 Dynamics365 でのデータ利活用を推進し、グローバルでのデータドリブン経営を実現するコックピットの実装に取り組みます」
(ロジスティード 二澤氏)

ロジスティードソリューションズ 熊田氏

「ロジスティードソリューションズグループとして、導入後の現場機能改善とデータ活用・経営予測分析基盤の整備にこれからも取り組みます」
(ロジスティードソリューションズ 熊田氏)

ロジスティード 二澤氏

「 Dynamics365 でのデータ利活用を推進し、グローバルでのデータドリブン経営を実現するコックピットの実装に取り組みます」
(ロジスティード 二澤氏)

ロジスティードソリューションズ 熊田氏

「ロジスティードソリューションズグループとして、導入後の現場機能改善とデータ活用・経営予測分析基盤の整備にこれからも取り組みます」(ロジスティードソリューションズ 熊田氏)

ロジスティード株式会社

本社所在地
 東京都中央区京橋二丁目9番2号 ロジスティードビル
創業
 1950年2月
代表者
 代表取締役 会長兼社長執行役員(CEO)中谷 康夫
資本金
 1億円
従業員数
 56,240名(2026年3月末現在)
事業内容
 3PL事業、フォワーディング事業、重量機工事業
URL
 https://www.logisteed.com/jp/

* 取材時期 2026年5月
* 記載の担当部署、役職などは取材時のものです。

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