船積書類作成システムを導入することで、アウトソーシングしていた業務を内製化しました。注文追加・訂正や在庫の確保に手間取る場合でも、柔軟かつ迅速に対応できるようになりました。
船積書類作成システム
(写真左より、株式会社伊勢半 海外事業本部 海外業務部 部長 齊藤 祐介氏、課長 鈴木 義則氏、
奥野 瞳氏、副主事 松村 浩樹氏)
創業以来190年以上の歴史を有する総合化粧品メーカー、株式会社伊勢半(以下、伊勢半)。同社では「ONEsLOGI Cloud/船積書類作成システム(以下、船積書類作成システム)」を導入し、これまでアウトソーシングしていた船積書類作成業務を内製化しました。その経緯と効果について紹介します。
* 取材時期 2018年1月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
* 2023年4月1日付で、日立物流ソフトウェアはロジスティードソリューションズへ商号変更しました。
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伊勢半の製品パッケージイメージ(国内向け製品)
伊勢半は、1825年(文政8年)に創業した紅屋をルーツとする企業です。以来190有余年、創業者・澤田半右衛門の「品質向上に向けて創意工夫を重ねる精神」を受け継ぎ、伝統の紅づくりの技を守るとともに、メイクアップやスキンケア製品を手掛ける総合化粧品メーカーとして成長・変革を遂げてきました。
現在では、日本の化粧文化を守り伝えるとともに、「あしたは、もっと美しく」のミッションのもと、常にお客様視点に立ち、グループ各社がそれぞれの強みを生かしたメイクアップ化粧品、基礎化粧品、医薬部外品などの化粧品全般を製造・販売しています。
伊勢半では戦前から輸出に取り組んできましたが、これまで海外における販売量はそれほど多くありませんでした。
しかし、近年、日本のかわいい文化の普及・浸透や、SNSやブログといった情報伝達のグローバル化により、アジア圏を中心に当社製品の品質やコストパフォーマンスの高さが評価されています。さらには、現地のニーズに沿った販売戦略や現地専用製品の投入といった積極的な対応も実を結びつつあり、現在では14の国と地域で販売をしています。
売上高で見ても、海外での販売量はここ数年2桁成長を続けており、総売上高が堅調に推移している中でも、海外での売上比率は約3割を占めるまでに拡大しています。
海外(香港)における伊勢半製品店頭陳列の様子
(写真提供:株式会社伊勢半)
「導入コストを抑えるため、カスタマイズはできる限りせずに利用しています」(齊藤氏)
韓国、台湾、香港への輸出に関する船積書類の作成に利用しています。各エリアには1社ずつ代理店を設けており、月末に注文を受け、翌月に各代理店へと商品を出荷するというのが基本的な業務の流れとなります。
これらの三つの国と地域は、現時点で当社の輸出先の上位3位を占めており、その中でも韓国が最大の出荷先となっています。
書類内容の最終確認作業も含めて、1回あたりのトータル作業時間は30分ほどです。
実際の作業の手順は、次の通りです。
船積書類作成システムの作業イメージ画面
船積書類作成システムの作業イメージ画面
あらかじめ帳票フォームを用意しておくことはできると聞いていますが、カスタマイズでの対応となります。毎日実施する業務ではなく、修正作業も手間のかかる作業ではないので、今回は導入コストを抑えるためにカスタマイズはできる限りしていません。
伊勢半における出力帳票のサンプルイメージ
伊勢半における出力帳票のサンプルイメージ
「船積書類作成のコストを削減かつ固定化するために、アウトソーシングから内製へと切り替えました」(鈴木氏)
これまでは出荷量もそれほど多くはなかったので、専門の業者にアウトソーシングをしていました。
注文数が増えるにつれて、アウトソーシングでは不便だと感じることも多くなり、また、作業依頼コストも増大してしまうことから、内製への切り替えを進めることにしました。
アウトソーシングの場合は、依頼先の受付時間内に必要な情報を提供しなければなりません。しかし、必要な在庫数を確保できずギリギリまで対応に追われたり、急な注文の変更などに対応したりする場合、その時間的な制約が原因で船積書類の手配が遅れてしまうこともあり、その結果、出荷日が大幅にずれ込んでしまうこともありました。
コストに関しては、アウトソーシングの場合、発行する枚数に比例して増大しますので、出荷量が増えてパッキングリストの枚数などが増えると、その分、コストが膨らんでいきます。また、出荷予定日までに必要な在庫数を確保できず複数回に分けて出荷をしなければならない場合も、追加で作業依頼コストが発生します。さらに、毎月、作業依頼コストが変動し、固定化できないという点も問題視されるようになっていました。
出荷のために必要なデータが出揃えば、すぐにその場で船積書類を作成・印刷できるようになり、必要な書類を準備するまでの時間が大幅に短縮されました。訂正や変更にも柔軟かつ迅速に対応できるようになり、担当者の作業負荷の軽減にもつながっています。
また、出荷量や出荷回数にかかわらずコストが固定化され、クラウドなのでシステムの運用や保守にもほとんど手間がかからないのも、重要な導入効果だと捉えています。
使い勝手も良く、操作も簡単です。また、作成したデータはシステム上に一定期間保管されているので、前月の内容を簡単に確認でき助かっています。
「使い勝手や機能を確認した上で、導入を決めました」(奥野氏)
船積書類の作成・印刷業務を内製化するにあたり、すべてを手作業で対応するわけにはいかないので、システムの導入は必須だと考えました。導入するシステムの選定にあたっては、次の要件を基本に導入するシステムを検討しました。
いくつかのシステムを比較検討し、デモを見て実際に使い勝手や機能を確認した上で、次の理由から船積書類作成システムの採用を決めました。
「パフォーマンスや使い勝手のさらなる向上に期待しています」(松村氏)
クラウドなのでシステム面での準備や手間はかかりませんでしたが、通常の業務と並行してカスタマイズしてもらった帳票フォームの検証や、出荷先マスターデータの登録などを進めなければならなかったので、その1カ月間は少し大変でした。しかし、今となって振り返れば、その期間で疑問点や不明点を確認でき、システムに慣れることができたので良かったと思っています。
日立物流ソフトウェアは導入検討の段階から丁寧かつ迅速に対応してくれました。無理を言った部分もあるかもしれませんが、当社からの要望に耳を傾け、積極的な提案や対応する姿勢を示してくれたので、安心して船積書類作成システムの導入を進めることができ、とても感謝しています。
今後、さらに使いやすく、パフォーマンスに優れたシステムへと進化することに期待しています。