欲しかったのは、WMSとシームレスに連携する販売管理システム。
流通に精通したSEによる大胆かつ緻密な発想により、スリムで拡張性が高く、運用負荷の軽いシステムを構築することができました。
販売管理システム
ひな人形や五月人形、盆提灯などを全国の百貨店・有名専門店向けに卸販売している株式会社フジキ工芸産業(以下、フジキ工芸産業)。同社では、必要最低限の機能に絞り込み販売管理システムをスリム化することで、請求書発行業務などの効率化とスピードアップを実現。合わせてWMS(倉庫管理システム)との連携を強化することで、倉庫管理から販売管理までをシームレスに連携するシステム基盤の構築を実現した。導入の経緯と効果について詳しく話を伺いました。
* 取材時期 2012年3月
* 2023年4月1日付で、日立物流ソフトウェアはロジスティードソリューションズへ商号変更しました。
フジキ工芸産業の提供する商品例
当社では、羽子板・破魔矢・ひな人形・五月人形・盆提灯など、日本の伝統を受け継ぐ行事・催事にかかわる製品の卸販売を主としています。
本社は、1932年(昭和7年)創業以来、福岡県八女市に構えていますが、販売網は関東・関西の主要都市をはじめとした全国2,000店舗と広範囲にわたります。百貨店や有名専門店、各種量販店とも太いパイプでつながっており、取扱量は全国トップレベルとなっています。
また、商品の製造も手がけており、近年では日本のモダンを現代に表現する山本寛斎さんとの共同制作による正月飾り・ひな人形・五月人形や、第一線で活躍するクリエーターと共作したモダンスタイルの節句人形「DEMOWA」シリーズなども提供しています。
「既存システムのリースアップを契機に、販売管理システムのリニューアルを検討することにしました」
以前利用していた販売管理システムは多機能で、一般的な販売管理を行うのには優れたシステムでした。導入時は「大は小を兼ねる」という発想で、高スペックで多機能なシステムを導入すればいいという考えもあったのですが、実際に使い続けていくうちにいくつかの課題が見えてきました。そのため、既存システムのリースアップを契機に、販売管理システムのリニューアルを検討することにしました。
主な課題は次のとおりです。
当社の場合は、際物(きわもの)と呼ばれる「ある時季の間際にだけ売れる」商品を中心に取り扱っています。また、取り扱いアイテムも多品種少量で、単純に点数だけを見ても20万点ほどになり、セット商品なども多く、返品への対応も複雑になりがちです。そのため一般的な販売管理システムでは、当社の固有業務要件をカバーしきれない部分が数多くありました。
WMSと販売管理システムの連携を強化することで、倉庫管理と販売管理の連動性を高めたいと考えました。また、多機能なシステムであったため、WMSと機能面で重複する部分も多くありましたので、利用する機能を絞り込むことでシステムを簡素化したいと考えました。
取引先数が多く、特定の時期に処理が集中するので、月末の請求書発行業務や売上統括表の集計処理などをスピードアップすることで、業務効率やサービスレベルを向上させたいと考えました。
WMSと販売管理システムの間で、仕様の違いや運用管理において責任の所在があいまいになってしまうことが弊害となっていました。そのため、システム運用管理の負荷を軽減したいと考えました。
「WMSと柔軟に連携できる販売管理システムを導入したいと考えました」
一からシステムを開発するのが理想的でしたが、導入コスト開発スピードを考え、パッケージソフトを利用したシステム構築が必須だと考えました。
ただし、機能を追加したり、利用する機能を絞り込んだりといったカスタマイズや、機能ごとの部分最適の積み重ねができる拡張性のあるシステムというのが前提条件となりました。
また、販売管理は倉庫管理と密接に関連していますので、WMSとも柔軟に連携できる仕組みを取り入れたいと考えました。
細かい部分では、請求書発行処理をスピードアップするための仕組みや、表計算ソフトとの連携がスムーズにできるといった機能なども提案に含めてもらうようにしました。
「4社にシステム構築の提案を依頼し、最終的に日立物流ソフトウェアに依頼することにしました」
4社にシステム構築の提案を依頼して、最終的に、既存システムのバージョンアップにするか、日立物流ソフトウェアから提案された販売管理システムを採用するかを検討しました。
結果としては、機能やサポート体制などを考慮して日立物流ソフトウェアに依頼することにしました。
機能面では、パッケージソフトとオリジナル開発システム、両方の良いところを持ち合わせた製品であることを高く評価しました。
パッケージソフトとして基本的な販売管理の機能が網羅されているうえに、物流システムのプロである日立物流グループのノウハウが反映されており、一方、カスタマイズが可能なので、当社の業務や商習慣に合わせたシステムを短期間に低コストで実現できると考えました。
特にカスタマイズに関しては、日立物流ソフトウェアの自社開発製品なので、仕様上の制限や制約は少ないと考えました。
また、WMSも日立物流ソフトウェアによるシステムを採用していますので、システム間の連携面もスムーズだと判断しました。
「リモートアクセスでシステムの運用をサポートしてもらえるので安心です」
日立物流ソフトウェアは、「際物」を取り扱う当社の業務や商習慣への理解度が高く、卸業の販売管理業務に精通しているSEが、担当者としてシステムの設計・構築・カスタマイズの相談に乗ってくれるので、スムーズかつ短期間にシステムを導入できると考えました。
また導入後の保守に関しても、システムの構築に携わったSEがリモートアクセスでサポートしてくれるので、安心してシステムを運用できると考えました。リモートアクセスであれば、わざわざ当社まで担当者に出向いてもらわなくても、迅速かつレベルの高い保守サポートが期待できるからです。
「業務がスピードアップし、短時間でより多くの業務をこなせるようになりました」
販売管理業務全体が効率化され、WMSとの連携も強化されたことで、業務がスピードアップし短時間でより多くの業務をこなせるようになりました。
たとえば売上統括表の集計処理など、これまで数十分かかっていたような処理が数分で完了するようになりました。
また請求書発行業務は、カーボン紙への打ち出しをレーザプリンタでの出力に変更したこともあり、これまで丸1日かかっていた出力が10分程度で完了するようになりました。
「現場の意見や希望をうまく吸い上げて、システムに反映してもらえました」
予算や納期などが決まっている中で、現場の意見や希望をうまく吸い上げながら、さまざまな要望に対して、当社のあるべき姿を見極めながら、大胆かつ緻密な発想で適切に優先順位を付けてくれました。
そのおかげで、機能を適切に絞り込み、システム構成がシンプルで、当社にとって最適なサイズのシステムを構築できたと感謝しています。
また、進行管理がしっかりしていたので、スケジュールがずれ込むようなこともなく、安心してプロジェクトを進めることができました。
第一ステップとして、WMSと販売管理システムの連携がスムーズになり、全体最適が実現されたと思っています。次のステップとしては、カスタマイズをしながら個別の機能や処理の最適化を図っていきたいと考えています。