業務が効率化され即日出荷の締め切り時間を延長することができました。
在庫管理の精度も向上し、在庫の差異がなくなりました。
物流センター管理システム(WMS)
写真左より、株式会社フォーカス 取締役 管理本部長 山嶋 一雄氏、管理部 部長 岡﨑 順一氏、
管理部 情報システム課 サブマネージャー 吉田 純氏、管理部 情報システム課 アシスタントマネージャー 森 弘至氏
医薬品・医療消耗品・医療材料および家電製品・カメラ商材などの通販卸事業を手がける株式会社フォーカス(以下、フォーカス)では、物流倉庫の移転を機にWMS(倉庫管理システム)を導入。出荷体制を強化することで、正確で迅速な物流サービスを実現している。WMS導入の経緯と効果について詳しく話を伺いました。
* 取材時期 2012年10月
* 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
* 2023年4月1日付で、日立物流ソフトウェアはロジスティードソリューションズへ商号変更しました。
「全国の病院・診療所・歯科医院・調剤薬局および家電店、DPE店向けに通販卸事業を展開しています」
フォーカスは、「メディカル事業」と「家電・カメラ卸事業」の2つの事業から成り立っています。
メディカル事業は、全国の病院・診療所・歯科医院・調剤薬局などの医療機関を対象に、売れ筋の医薬品・医療材料・医療消耗品を仕入商材として提供しています。
家電・カメラ卸事業は、全国の家電店やDPE店などを対象に、メディアミックスで情報を配信し、売れ筋の家電製品・カメラ商材を仕入商材として提供する事業になります。
また、これら事業をサポートする物流サービスとカスタマーセンターの運営も行っており、徹底した在庫管理・衛生管理を実施するとともに、サービス内容別に窓口を設けてお客様をサポートしています。
2009年11月の物流倉庫の移転に伴い、新規に日立物流ソフトウェアのWMSを導入しました。基本はパッケージソフトの機能を利用し、一部、当社業務への最適化を図るためにカスタマイズをしました。
物流センターにおける作業の様子
基本機能は、次のとおりです
WMSはすでに導入済みだった販売・在庫管理システムと連携しており、取り扱いアイテム数は現在6,000アイテムほどになります。
「仕入れから出荷までの業務を効率化し、在庫管理の精度を向上させるためにWMSを導入しました」
以前は、3PL(3rd party logistics)事業者に倉庫管理業務全般を依頼していました。そのため、WMSにあたる在庫管理システムも当社独自のシステムは導入しておらず、物流業務の委託先が導入しているシステムを利用していました。
当社では、ITは戦略ツールだと捉えています。WMSも、物流センターにおける仕入れから出荷まで一連の業務を効率化するために必須だと捉えています。
特に以前は、3PL事業者がすでに導入しているシステムを利用せざるを得なかったため、思うような業務フローや機能を実現できず、業務をシステムに合わせなければならない、もしくは運用でカバーしなければならないところがありました。
当社の場合は、家電のように大型の商品から、有効期限や温度管理の必要な医薬品まで幅広い商品を取り扱っていますので、自社で仕様や機能をコントロールできるWMSを導入したいと考えていました。
また、以前は在庫精度の問題にも悩まされていましたので、在庫の精度を高める業務フローを確立し、リアルタイムに正確な情報を管理するためにも、信頼できるWMSを自分たちで選定したいとも考えていました。
しかし、社内だけで要求事項をまとめるのは時間も手間もかかってしまいます。そこで、外部のコンサルタントに依頼して要求事項をまとめるのを手伝ってもらいRFPを作成しました。そのRFPをもとに8社ほどのSIベンダーに新規WMSの提案を依頼しました。
これまで日立物流ソフトウェアとの取引はなかったのですが、社長がインターネットで検索して連絡をしました。
実際に話を聞いてみて、物流大手の日立物流の関連会社ということもあり、経験や実績が豊富だということがわかりましたので提案をお願いすることにしました。
システムの開発、構築、サポートなどがばらばらのベンダーが窓口だと、当社にかかる負荷が大きくなるので、システムの構築から運用時のサポートまでワンストップで対応してもらえるベンダーを選定したいと考えていました。
機能面に関しては、倉庫管理業務の基本的な流れや作業内容は、一般的なWMSの機能で実現できると思ったのですが、ポイントとして下記の要件をカバーできるシステムを導入したいと考えました。
「構築から運用時のサポートまで、ワンストップで対応してもらえるベンダーに依頼したいと考えました」
医薬品やフィルムなど使用期限のある商品を数多く取り扱っているため、指定の有効期限やロットを出庫できるなど、先入れ・先出しを徹底できる仕様が必要でした。
エアコンのように入庫は、バラバラでも組み合わせて出荷しなければならない商品、逆にロットをばらして出荷しなければならない商品もあります。セット・バラ作成など流通加工の工程を正確に管理できる機能が必要で、倉庫内で使用するオリジナルラベルの発行機能なども要件となりました。
代引き決済が中心なので、出荷ミスによるトラブルは絶対に避けなければなりません。そのため2重検品へ対応できることは必須要件でした。
販売・在庫管理システムとの連携ができなければ業務全体を効率化およびスピードアップできないので、システムの連携機能も必須要件でした。
当社の要件をパッケージソフトだけで満たすことは難しく、パッケージソフトをカスタマイズするか、スクラッチで新規にシステムを開発せざるを得なかったのですが、スクラッチで開発すると手間と時間、そしてコストが膨大になってしまうことがわかりました。
日立物流ソフトウェアからの提案は、入荷・出荷・在庫管理の部分は、パッケージソフトをベースに入荷時の商品加工管理や出荷時の発送管理の部分をカスタマイズするという提案内容でした。最終的には、実際にWMSが稼働している倉庫も見学をさせてもらい、日立物流ソフトウェアの提案を採用することにしました。ポイントは次のとおりです。
「導入検討の際、実施にシステムが稼動している倉庫に見学へ行きました」
ベースとなるパッケージソフトは日立物流ソフトウェアの自社開発システムであり、保守体制もしっかりしていることから、構築からカスタマイズ、導入時の教育、運用サポートまで安心してワンストップで任せることができる。
2,000種類もの豊富なテンプレートをベースに入出力画面や帳票を作成できるので、コストと導入期間を最小現に抑えながら、当社の要望する機能を実現できる。
日立物流ソフトウェアはWMSの導入実績や経験が豊富で、システム構築だけでなくさまざまな面で新規物流センターの開設をサポートしてもらえる。
将来的に複数の物流センターでの運用など、拡張性が高いという点も採用のポイントとなった。
「棚卸作業が効率化されました」
システムは順調に稼働しておりそれが一番の導入効果ですが、具体的な例としては次の3つの効果があげられます。
さらに業務効率や精度を向上させるために、現状業務を分析して、改善につなげていくような仕組みも取り入れていきたいと考えています。
また、現在のアイテム数は6,000点ほどですが、1年前に棚卸をした段階では3,000~4,000点ほどでした。今後も取り扱い点数は増加していくと考えています。また、現在は1か所の物流センターで全国に商品発送をしていますが、サービスレベル向上のために物流センターを複数設ける必要もでてくるかもしれません。それに伴いシステムを拡張する必要がでてくるかと思っています。
時間的に余裕がない中、設計・構築の段階で要望の追加や変更などがあったにもかかわらず、データの移行作業を含め予定通りシステムを納品してもらい感謝しています。
また、SEの対応もよく、期待していたとおり倉庫管理業務にも精通していたので、とてもスムーズにシステムの構築を進めることができました。
倉庫管理業務だけでなく、物流業務全般の効率化や精度向上に関する提案やサポートに期待しています。